新学術領域「分子ロボティクス」
関係者 各位
平成28年1月分子ロボティクス研究会定例会を下記の通りご案内申し上げます。
また研究会後に懇親会へ参加を希望される方は、参加希望の旨を1月15日までにメールにてお知らせ下さい。
「分子ロボティクス研究会」2016年1月定例研究会(京都)
協 賛: 新学術領域「感覚と知能を備えた分子ロボットの創成(分子ロボティクス)」
「1分子計測・1分子観察の最前線と分子ロボティクスへの融合」
日 時: 2016年1月23日(土曜日)
場 所: 京都大学吉田キャンパス 物質―細胞統合システム拠点 コンプレックス1本館 セミナー室(京都市左京区吉田牛ノ宮町)
アクセス: 京都市バス「京大正門前」バス停から徒歩1分(関西日仏会館左隣り)
世話人: 遠藤 政幸(京都大学 物質―細胞統合システム拠点)endo[at]kuchem.kyoto-u.ac.jp
参加費: 無料
<<プログラム>>
1:00-1:40 “RNA Origami: A new way to design nanostructures”
Dr. Cody Geary (California Institute of Technology)
Artificial DNA and RNA structures have been used as scaffolds for a variety of nanoscale devices. In comparison to DNA structures, RNA structures have been limited in size, but they also have advantages: RNA can fold during transcription and thus can be genetically encoded and expressed in cells. We introduce an architecture for designing artificial RNA structures that fold from a single strand, in which arrays of antiparallel RNA helices are precisely organized by RNA tertiary motifs and a new type of crossover pattern. We constructed RNA tiles that assemble into hexagonal lattices and demonstrated that lattices can be formed by annealing and/or cotranscriptional folding. Tiles can be scaled up to 660 nucleotides in length, reaching a size comparable to that of large natural ribozymes.
1:40-2:20 「生体分子機械を観る、操る、壊す、創る」
飯野亮太先生(分子研究所)
生体分子で出来た機械はロボットには及びませんが、機械を構成する複数の部品がうまく協調しながらなかなか巧みに働きます。そんな分子機械の代表例である分子モーターが一方向に動く仕組みを「観る、操る、壊す、創る」という4つのアプローチで調べるお話をさせて頂きます。特に最近のマイブームは「壊す」と「創る」です。ただ、「創る」のはまだあまりうまくいっていないので、我々の試行錯誤と野望をご紹介させて頂きます。
2:20-2:50 「ナノポアを用いたDNAコンピューティングシステムの構築」
川野竜司先生(東京農工大工学研究院 生命機能科学部門)
平面脂質膜中に再構成したナノ孔を持つ膜タンパク質を用いると、一分子のDNAがその孔を通過する様子を電気的に観測できる。本研究ではDNA演算出力をナノポアを用いて行うことで、電気的な高速DNA演算機構を構築する。
Coffee break
3:10-4:50 「電流計測とナノ構造を用いる1分子解析技術」
谷口正輝先生(大阪大学産業科学研究所)
電流計測とナノ構造を組み合わせ、トンネル電流を計測することで、電極に接続されている分子数、1分子の分子振動・温度、電極と分子の結合力を評価できるようになってきた。このような1分子解析技術を応用すると、DNA・RNAの塩基配列やペプチドのアミノ酸配列の解読と、修飾塩基分子や修飾アミノ酸分子も1分子で識別することができる。一方、イオン電流計測と流体シュミレーションを組み合わせることで、1個の粒子の構造を推定できるようになってきた。
3:50-4:20 「有機金属ハロゲン化物ペロブスカイトの単一粒子発光観測」
立川貴士先生(神戸大学大学院理学研究科)
有機金属ハロゲン化物ペロブスカイトは、近年、太陽電池や発光デバイスなどへの応用で注目されている光機能性材料である。一方、ナノスケールで構造が不均質であるため、通常のバルク系を対象とした分光測定のみでは重要な反応素過程を明らかにすることは容易ではない。本講演では、単一粒子レベルでの発光観測から得られた、上記ペロブスカイトにおけるキャリアダイナミクスや表面反応に関する最新の実験結果について紹介する。
Coffee break
4:40-5:10 「光応答性ナノ材料による細胞膜機能の光制御」
村上達也先生(京都大学WPI-iCeMS)
外因性の光応答性蛋白質を利用して細胞の機能を光制御することは、新しい細胞工学手法として急速に発展している。本研究では、ドラッグデリバリーシステムの概念を利用して、光熱変換ナノ材料を細胞局所に送達し、細胞機能を安全に光制御する方法について紹介する。
5:10-5:40 「神経細胞におけるグルタミン酸受容体の可視化と活性制御の新手法」
清中茂樹先生(京都大学大学院工学研究科)
神経細胞においては、グルタミン酸受容体が興奮性の神経伝達を司る。その動態および活性の変化が神経活動と深く相関するため、その可視化および活性制御方法は神経機能解明に有力なツールとなる。我々は、遺伝子に摂動を与えることなく神経細胞に内在するグルタミン酸受容体を可視化する方法を開発した。また、受容体の活性制御に関しても、Chemical Biology的アプローチを用いることで、従来の問題点を克服した新たな活性制御法を開発した。
懇親会 6:00-8:00 (付近の居酒屋を予定)